Claude Cowork × MCP連携実践ガイド——Google Drive・Slack・Notionを繋いで業務フローを丸ごと自動化
Claude CoworkとMCP(Model Context Protocol)を組み合わせれば、Google DriveやSlack、Notionなど外部サービスと接続して業務フローを一気通貫で自動化できます。架空の受託開発チームを題材に、設定から実践までをハンズオン形式で解説します。

はじめに
前回の記事で、Claude Coworkの概要と「AIエージェントが同僚になる」というコンセプトを紹介しました。
しかし、実際に使ってみると気づくことがあります。
「フォルダ内のファイル操作だけだと、業務フロー全体は自動化できない」
たとえば、こんなケースです。
1. Google Driveに格納された議事録を読み取る
2. 要点を整理してNotionのタスクボードに起票する
3. 完了したらSlackで関係者に通知する
これをClaude Cowork単体でやろうとすると、途中でブラウザを開いてコピペして……と手作業が挟まります。
ここで登場するのが**MCP(Model Context Protocol)**です。MCPコネクタを使えば、Claude Coworkから直接Google Drive、Slack、Notionなどの外部サービスにアクセスできるようになります。
この記事を読み終わると、以下ができるようになります:
- Claude CoworkにMCPサーバーを接続する方法がわかる
- Google Drive → Notion → Slackを横断する業務フローを自動化できる
- 自分のチームに合ったMCP連携パターンを設計できる
Claude Cowork × MCPの全体像
MCPとは何か
MCP(Model Context Protocol)は、AIアプリケーションと外部データソースを接続するためのオープンプロトコルです。Anthropicが提唱し、現在は多くのサービスが対応しています。
ポイントは、Claude Coworkがローカルファイルと外部サービスの両方をシームレスに操作できること。「Google Driveのファイルを読んで、ローカルで加工して、結果をNotionに書き込む」といった横断的な処理が自然言語の指示だけで実現します。
Claude Code MCPとの違い
Claude CodeのMCP設定に馴染みがある方は、「Coworkでも同じように使えるの?」と思うかもしれません。
| 項目 | Claude Code | Claude Cowork |
|---|---|---|
| 設定ファイル | .claude/settings.json | Claude Desktop設定画面 |
| 対象ユーザー | エンジニア | 全社員 |
| MCPサーバー起動 | CLIから手動 | アプリが自動管理 |
| 主な用途 | 開発ワークフロー | 業務ワークフロー |
設定方法は異なりますが、MCPサーバー自体は共通のものが使えます。
事前準備
必要なもの
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| Claude Desktopアプリ | macOS版またはWindows版(2026年2月11日〜) |
| サブスクリプション | Claude Pro($20/月)以上。Maxプラン推奨 |
| Node.js | v18以上(MCPサーバーの実行に必要) |
| 各サービスのアカウント | Google Workspace、Slack、Notionなど |
MCPサーバーの設定方法
Claude Desktopの設定ファイルにMCPサーバーを追加します。
macOSの場合:
# 設定ファイルの場所
~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json
Windowsの場合:
# 設定ファイルの場所
%APPDATA%\Claude\claude_desktop_config.json
ハンズオン 1: Google Drive MCPサーバーを接続する
まずは最もニーズの高いGoogle Drive連携から始めます。
Step 1: Google Drive MCPサーバーのインストール
npm install -g @anthropic/mcp-server-gdrive
Step 2: Google Cloud Consoleで認証情報を取得
- Google Cloud Console にアクセス
- 新規プロジェクトを作成(例:
claude-cowork-mcp) - Google Drive APIを有効化
- OAuth 2.0クライアントIDを作成(デスクトップアプリケーション)
credentials.jsonをダウンロード
Step 3: 設定ファイルに追加
claude_desktop_config.json を編集します。
{
"mcpServers": {
"gdrive": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@anthropic/mcp-server-gdrive"],
"env": {
"GOOGLE_APPLICATION_CREDENTIALS": "/path/to/credentials.json"
}
}
}
}
Step 4: 動作確認
Claude Desktopを再起動し、Coworkモードで以下のように指示します。
Google Driveの「2026年2月」フォルダにあるファイル一覧を見せて
ファイル一覧が返ってくれば接続成功です。
できるようになること
| 操作 | 指示例 |
|---|---|
| ファイル検索 | 「先週作成された議事録を探して」 |
| ファイル読み取り | 「この提案書の要点を3つにまとめて」 |
| ファイル作成 | 「打ち合わせメモからレポートを作成してDriveに保存して」 |
| ファイル整理 | 「未分類フォルダのファイルを内容に基づいて振り分けて」 |
ハンズオン 2: Slack MCPサーバーを追加する
Google Driveの次は、チームコミュニケーションの要であるSlackを接続します。
Step 1: Slack Appの作成
- Slack API にアクセス
- 「Create New App」→「From scratch」を選択
- 必要なスコープを追加:
channels:read
channels:history
chat:write
users:read
- Bot User OAuth Tokenを取得(
xoxb-で始まるトークン)
Step 2: 設定ファイルに追加
{
"mcpServers": {
"gdrive": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@anthropic/mcp-server-gdrive"],
"env": {
"GOOGLE_APPLICATION_CREDENTIALS": "/path/to/credentials.json"
}
},
"slack": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@anthropic/mcp-server-slack"],
"env": {
"SLACK_BOT_TOKEN": "xoxb-your-token-here"
}
}
}
}
Step 3: 動作確認
#general チャンネルの最新メッセージを5件見せて
これでSlackの読み書きがClaude Coworkから可能になりました。
ハンズオン 3: 3サービスを横断する業務フロー自動化
ここからが本題です。Google DriveとSlackに加え、Notionも接続して、実際の業務フローを丸ごと自動化してみます。
シナリオ:受託開発チーム「TeamDev」の週次レビュー
架空の受託開発チーム「TeamDev」を想定します。毎週月曜日に行っている週次レビューの業務フローを自動化します。
現状の手作業フロー:
所要時間:約45分(議事録が3件、タスクが10件の場合)
Notion MCPサーバーの追加
{
"mcpServers": {
"gdrive": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@anthropic/mcp-server-gdrive"],
"env": {
"GOOGLE_APPLICATION_CREDENTIALS": "/path/to/credentials.json"
}
},
"slack": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@anthropic/mcp-server-slack"],
"env": {
"SLACK_BOT_TOKEN": "xoxb-your-token-here"
}
},
"notion": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@anthropic/mcp-server-notion"],
"env": {
"NOTION_API_KEY": "ntn_your-api-key-here"
}
}
}
}
自動化の実行
Claude Coworkに以下のように指示します。
以下の手順で週次レビューを処理してください。
1. Google Driveの「TeamDev/議事録/2026年2月」フォルダにある
今週の議事録(2/10〜2/14)をすべて読み取る
2. 各議事録から以下を抽出する:
- 決定事項
- 未解決の課題
- 来週までのアクションアイテム
3. アクションアイテムをNotionの「開発タスク」データベースに起票する
- タイトル: アクションアイテムの内容
- ステータス: 「未着手」
- 担当者: 議事録に記載がある場合は設定
- 期限: 来週金曜日
4. 処理結果を以下の形式で #dev-team チャンネルに投稿する:
---
📋 週次レビューまとめ(2/10〜2/14)
【決定事項】
- (箇条書き)
【未解決の課題】
- (箇条書き)
【起票したタスク】
- (Notionリンク付きで一覧)
---
自動化後のフロー:
所要時間:約3分(指示を書く時間のみ)
実行結果のイメージ
Slackに投稿される内容の例:
📋 週次レビューまとめ(2/10〜2/14)
【決定事項】
- 検索機能のUIはタブ切り替え方式で実装する
- ステージング環境のデプロイは毎日17時に自動実行する
- APIレスポンスのキャッシュ時間を5分→15分に延長する
【未解決の課題】
- モバイル版のパフォーマンス最適化(計測方法を次回議論)
- 外部APIの認証トークン更新タイミング
【起票したタスク】(6件)
- 検索UIのタブコンポーネント実装 → @田中
- ステージング自動デプロイのGitHub Actions設定 → @佐藤
- APIキャッシュ設定の変更 → @鈴木
- モバイルパフォーマンス計測ツール選定 → @田中
- 外部API認証トークンのリフレッシュ実装 → @佐藤
- 来週の週次レビューアジェンダ作成 → @鈴木
実践パターン集:チームで使える業務フロー5選
ハンズオンで基本を押さえたところで、実務でよく使うパターンを紹介します。
パターン1: 日報の自動集約
指示例:
Slackの #daily-report チャンネルから今週(2/10〜2/14)の投稿を取得し、
メンバーごとの進捗をGoogle Driveの「週次サマリー」スプレッドシートに追記してください。
また、全体のサマリーを #management チャンネルに投稿してください。
パターン2: 顧客からの問い合わせ整理
パターン3: 競合調査レポート
1. Google Driveの「競合情報」フォルダにあるメモを全て読み取る
2. 競合ごとに情報を整理する
3. Notionの「競合分析」データベースを最新の情報で更新する
4. 変更点のサマリーを #product チャンネルに投稿する
パターン4: 請求書の処理フロー
パターン5: 採用候補者の情報整理
1. Google Driveの「採用/応募書類」フォルダから今週の応募書類を読み取る
2. 候補者ごとにスキル・経験年数・希望条件を抽出する
3. Notionの「採用パイプライン」にカードとして追加する
4. #hiring チャンネルに新規候補者のサマリーを投稿する
フォルダ固有の指示で精度を上げる
Claude Coworkには**フォルダ固有の指示(Folder-specific instructions)**を設定する機能があります。MCPと組み合わせると、フォルダに入れるだけで自動処理が走る仕組みが作れます。
設定方法
Coworkの設定画面で、フォルダごとに指示を登録します。
フォルダ: ~/Documents/議事録-受信
指示:
このフォルダに新しいファイルが追加されたら、以下を実行してください:
1. 議事録の内容を読み取る
2. アクションアイテムをNotionの「タスク」データベースに起票する
3. 起票結果を #task-updates チャンネルに通知する
グローバル指示との使い分け
| 指示タイプ | 用途 | 例 |
|---|---|---|
| グローバル指示 | 全タスク共通のルール | 「日本語で応答する」「ファイル削除前に確認する」 |
| フォルダ固有の指示 | 特定業務の自動化ルール | 「議事録から自動起票」「請求書の自動整理」 |
セキュリティとガバナンス
MCPで外部サービスに接続するということは、Claude Coworkがチームのデータにアクセスできるということです。導入前に以下を確認してください。
アクセス権限の最小化
✅ やるべきこと
- Google Driveは特定フォルダのみ共有する
- Slackは必要なチャンネルのみスコープに含める
- Notionは特定のデータベースのみアクセスを許可する
❌ やってはいけないこと
- ドライブ全体への読み書き権限を付与する
- Slackの管理者権限でBotを作成する
- 個人情報を含むデータベースを接続する
チーム導入時のガイドライン
| 項目 | 推奨設定 |
|---|---|
| MCPサーバーの管理 | IT管理者が設定ファイルを一元管理 |
| アクセスログ | 定期的にAPI利用状況を確認 |
| 機密情報 | 人事・給与データは接続対象外 |
| 破壊的操作 | ファイル削除・上書きは確認ステップを設ける |
プラグインとの違い
2026年1月30日にリリースされたCoworkプラグイン(営業支援、法務コンプライアンスなど11種類)と、MCPサーバーは何が違うのでしょうか。
| 項目 | MCPサーバー | Coworkプラグイン |
|---|---|---|
| 粒度 | サービス単位の接続(Slack、Driveなど) | 業務シナリオ単位(営業支援、法務など) |
| カスタマイズ性 | 高い(自由に指示を組み合わせ) | 低い(テンプレート型) |
| 導入難易度 | 中(API設定が必要) | 低(ワンクリック) |
| 対象ユーザー | エンジニア・IT管理者 | 全社員 |
使い分けの指針: まずプラグインで要件を満たせるか確認し、カスタマイズが必要な場合にMCPサーバーを構築する、というアプローチがおすすめです。
Tips: よくあるトラブルと対処法
MCPサーバーが接続できない
# Node.jsのバージョンを確認
node -v
# v18以上が必要
# MCPサーバーを手動で起動してエラーを確認
npx -y @anthropic/mcp-server-gdrive
Claude Desktopの再起動で解決することも多いです。
Google DriveのOAuth認証が切れる
アクセストークンは一定期間で失効します。再認証が求められた場合は、credentials.json の配置場所を確認してから再度認証フローを実行してください。
Slackへの投稿が失敗する
❌ チャンネルにBotが招待されていない
→ Slackでチャンネルを開き、/invite @your-bot-name を実行
❌ スコープ不足
→ Slack APIの設定画面でchat:writeスコープを追加し、再インストール
Proプランで制限に引っかかる
MCPを使った複合タスクはトークン消費が大きいため、Proプラン($20/月)だと制限に達しやすいです。業務で日常的に使う場合は**Maxプラン($100/月)**を推奨します。
まとめ
Claude Cowork × MCPの組み合わせにより、Google Drive・Slack・Notionなど複数サービスを横断する業務フローを自然言語だけで自動化できるようになりました。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| MCPとは | AIと外部サービスを接続するオープンプロトコル |
| 接続できるサービス | Google Drive、Slack、Notion、GitHubなど多数 |
| 最大の価値 | サービス横断のワークフローを自然言語で実行 |
| 導入の注意点 | アクセス権限の最小化、機密情報の除外 |
次のアクションとしておすすめ:
- まずGoogle Drive MCPだけ接続してみる — 最も導入ハードルが低い
- 小さな業務から試す — 「議事録の要約」「ファイルの整理」から始める
- チームに展開する前にガイドラインを整備 — セキュリティ面の合意を先に取る
- プラグインも併用する — 定型業務はプラグイン、カスタム業務はMCPと使い分ける
「AIが同僚になる」だけでなく、チームの業務ツールを全て理解した同僚になる——それがClaude Cowork × MCPの可能性です。
参考リンク:
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